横浜カカオクラブ

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スコッチをくれないか。

暇だからハンターハンターの二次創作小説でも書こうと思う。第1話

暇だからハンターハンターの二次創作小説でも書こうと思う。第1話 ハートのマーク 

 

風が吹いた、乾いた風だ。
早朝の空は青く、数える程度の雲が低い位置を泳いでいた。
色づいていた葉は水分を失い、少しの風に大きく煽られ、カサカサと音を立て、散っていった。

 

紅禅寺の境内はとても静かで、隣の墓場に訪れた老人の水を汲む音だけが聞こえていた。線香の香りが、鼻先に触れた。

 

18歳の青年、伊達恭平は黒のタイトなジャージ姿で、精神統一を行っていた。
目を閉じ、呼吸を整え、構える。空手の型だが、ゆっくりと、指先まで神経を尖らせる。
太極拳のようにも見えるスローな動き。
軸がブレないのは体幹が鍛えられているからだろう。
身体は細身で165センチの身長は決して大きい方ではない。
しかしよく鍛え上げられている。
ジャージの襟から、火傷の跡が残った首が見え隠れする。
火傷は長袖のジャージで隠れているが右腕の手のひらまで続いている。
伊達恭平の額にはじわりと汗が滲んでいた。

 

寺の建物から一人の大男がのそりと出てきた。短く刈り上げた坊主頭に、無精髭を蓄えた住職だ。作務衣姿ににぎりめしを頬張りながら。
湯座崇晶。今年で46歳になる。
185センチに90キロはある。腹は出ていないが、筋肉質でがっちりとしている。

 

「飯、食ったのか?」湯座崇晶は伊達恭平に尋ねた。

「いえ、まだ、、」伊達恭平は答えた。

「持ってけ、学校始まるぞ」

 

湯座崇晶は伊達恭平ににぎりめしを持たせた。伊達恭平は礼をいうと、自転車に乗り、学校へ向かった。

 

通学路、河原脇を自転車で走る。買ったばかりのマウンテンバイクがキラリと光る。
土手で学生の声が聞こえた。

 

「喧嘩か、、?」

 

恭平が目をやると、5人の男が一人を囲んでいた。

 

(イジメか、趣味が悪いな)

 

恭平はそのまま立ち去ろうとしたが、様子が変だった。
5人の方がうずくまったり、怪我をしている。
一人の男が、5人のリーダー格を血だらけにしていた。
しかも、明らかに5人の方が、運動部に所属しているようながっちりとした大男だ。

 

確かあの5人、ボクシング部かなんかで見た気がするぞ?
恭平は思った。

 

一方、一人で5人を相手にしているのは、ひょろひょろのメガネをかけたオタクっぽい学生だった。拳の握り方も、パンチの打ち方もめちゃくちゃだったが、当たるたびに鈍く重い打撃音が響き、血が飛び散った。
止めようとする他の4人はその度に殴り返され、膝をついていた。

 

あれは、、、

 

恭平が目をこらすと、オタクの学生の身体の周りに、力強いオーラのうねりが見えた。
恭平は走り寄り、止めに入る。

 

殴られている学生はひどい腫れと出血で顔面の原型がわからなくなっていた。意識ももうない。

 

「よせ!死ぬぞ!」

 

恭平はオタクの肩をつかんだ。

 

「止めるな!」

 

長く伸びた髪をなびかせて振り返ったそのオタクの目は血走っていた。
振り向きざまにそのまま恭平の頬を殴りつけた。

 

恭平の首はビクともしなかった。ガチンッと音がなって、拳は頬で止まった。
オタクは目を見開いた。

 

「その力は、正しく鍛えないと使えないんだよ」恭平は言った。

 

 

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紅禅寺にて、湯座崇晶を一人の男が尋ねていた。
スーツを着た長身の男が、畳の上であぐらをかいて座っていた。
湯座は男の前と自分の前に湯呑みを置いた。

 

「久しぶりだな」

無愛想な低い声が響いた。
黒いスーツの男は山崎陣という。37歳だ。

 

「寿司でもとるか、出所祝いだな」
湯座はあっはっはと笑った。

 

「寿司はいらない、煙草はあるかい?」

 

湯座は金のマルボロを取り出し、仏壇の横にあった線香をあげる用のチャッカマンと一緒に山崎に渡した。
山崎は煙草に火をつけ煙を吸い込んだ。
続けて湯座も山崎の前の煙草とチャッカマンを手に取り、火をつけた。

 

「あの時の子供はどうしてる?」山崎は訊いた。

「恭平か。元気にしてるよ。今朝も来ていた。兄弟弟子だな」湯座は答えた。

「傷は完治してるのか?」

「後遺症はない。跡は残っちまったがな」

 

山崎の咥えた煙草が、ぼうっと赤く燃えた。

 

「念能力者がな、増えてきている」湯座が言う。

 

山崎の煙草を持った手が、灰皿の上で止まった。

 

湯座は続ける。
「使いこなしてるやつは少ないんだがな、恭平も何人か見かけているらしい。覚醒だけしてるやつらがちょいちょいいる」

 

 

念能力というものが存在する。
いわゆる身体から出るオーラを使いこなす超能力者のことである。
オーラとは身体から溢れ出る生命エネルギーのことである。
なので全ての人に存在し、動物や虫にも存在している。
オーラは全ての人に存在しているが、通常はオーラが出る穴『精孔』が閉じたままになっているため、身体から出るオーラは微弱で垂れ流しになっている。
この『精孔』を開いた状態にすることで念能力は覚醒する。
覚醒すれば、目の精孔も開いているため、オーラを見ることもできる。

精孔を開くには座禅や瞑想により、オーラの流れを体感しながら時間をかけて開くことが必要であり、これが一般的な方法とされている。

使いこなすには覚醒だけではなく、鍛錬が必要になるが、世の中には本人の自覚なく覚醒し念能力を使い、才能を発揮する人間も多くいる。
そういった人間はある分野で突出した才能を発揮している。
決して戦闘のみを対象にした能力ではない。
念能力は悪用される危険性があるため、存在自体が秘匿とされている。

 

山崎 「ドラゴンノートか、、、」

湯座 「10年以上経って、結果が出てきちまったな」

 

ドラゴンノート
12年前、発売されたRPGゲームである。無名の小さなゲーム制作会社が作成したが、なぜか多額の広告費が費やされた。テレビCMが功を奏し大ヒット。しかし、ゲームの後半に登場する背景の赤い満月を見た複数の子供が体調不良を訴え製造中止、自主回収にいたった。
同じゲームをプレイした子供の大多数はなんの症状も出なかったが、一部の子供は頭痛、めまい、嘔吐、発熱を訴えた。
その数は確認できただけで2000人(実際はその数倍と予測されている)。2人の死者を出した。
ゲームソフトから微量のオーラを感じたため、念能力者の間では有名なゲーム。
この時体調不良を起こした子供が、その後なにかをきっかけに念能力を覚醒させるケースが確認されている。
制作会社はすでに倒産。製造過程のどの段階で念が込められたかわからないため、能力者も不明のままである。

 

山崎 「目的はなんだったんだろうな」

湯座 「そんなもんは考えるだけ無駄よ、あってないようなもんだろ。念能力は秘匿事項だが、世の中には広めたいって変わりもんもいる。もちろん力づくで止められるがな。おそらく、ドラゴンノートに念を込めたやつも消されてるんじゃないか」

山崎 「覚醒だけならそこまで問題はないだろ、放っておけばいい」

湯座 「二つ答えよう。覚醒だけの問題じゃないかもしれない。そして、放っておくわけにもいかない」

山崎 「どうゆうことだ?」

湯座 「念能力の解説や、習得方法の電脳ネットのサイトは見たことあるか?」

 

念能力は秘匿事項である。しかし、実際は噂話や都市伝説レベルでの認知はある。
それは催眠術や、メンタリズム、呪い、や呪術、予言と同じように世間には認知されており、詳しく解説する人はいない。知名度もその中では群を抜いて低い。
ネットでも検索することができ、メディアに取り上げられたこともあるが、内容はデマばかりでり、念能力者を語る偽物もいる。

 

山崎 「偽物しかないだろ?」

湯座 「一つ、気になるサイトがあるんだ、念を解説してるわけじゃないんだがな」

湯座は奥からノートパソコンを持ってきた。開くとあるページを山崎に見せた。

湯座 「先日捕まった強盗殺人の犯人が拘置所で自殺した。そいつは覚醒だけではなく、念を使いこなしていた。そいつは自宅のパソコンでこのサイトに頻繁にアクセスしてたようだ。このサイト、念の解説をしたテキストのありかを示してるんだ。」

山崎 「仮にそれが本物だとしても、それは警察かハンター協会の仕事だろ」

湯座 「このマークを見てもか?」

湯座はサイトの端にあるマークを指差した。そこにはハートを形取った笑顔のマークがあった。山崎の表情が変わった。山崎はこのマークに見覚えがある。
10年前、世間を賑わせた連続猟奇的殺人事件の犯人、霧生彰人(当時55歳)が殺害現場に必ず残すマークだった。霧生彰人のシンボルマークとして当時週刊誌に頻繁に登場した。
霧生彰人の殺人は、いつも誰かに見せつけるように死体が解体されていた。第一発見者は決まって一番絶望する被害者の家族だった。
霧生彰人は愛を分けているのだと主張した。
山崎はこの男を知っている。


10年前、山崎はこの男を殺した。

 

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暇だからハンター✖️ハンターの2次創作小説でも書こうと思う。第2話 - 横浜カカオクラブ